>長い入院の人たちに共通することとは何かといえば、本気で彼らの側に立つ人が誰一人いないことだ。病床稼働率を下げたくない病院経営者、自分のプライドを守るために治療方針を変えられない主治医、院内の自分の立場を守るために対立を避けようとするソーシャルワーカー。本人がいないことで平穏な人生を維持している家族と、火中の栗を拾うことを避ける地域の支援者。そういう人々に囲まれて、ただ時間だけが過ぎていく。そして、すべての希望を失った結果の「退院したくない」という本人の意思が尊重され、入院が仕方ないものとして正当化される。p.137