そのため、その研究の領域の中に、「混血」や「ハーフ」の居場所をちゃんと確保して、議論を「わかりやすくする」ために安易な二分法で現実を遮蔽してくれないように、なんとか批判を繰り返していくしかないというような感じで研究を続けて行った。
だからこそ、もちろん研究のフォーカスは「ハーフ」「ミックス」と呼ばれる人々についてだった。
どんな歴史背景があって、どんな経験をしてきたのか、そういったことを明らかにしていくのが、自分がやりたい大きな研究のモチベーションだった。
そんな中、
あるときゼミの先生に、私の研究は、「『ハーフ』の経験を明らかにすることによって、それが『日本人とは何か』という点を明らかにすることにもつながるから、そうった側面についても議論を進めてほしい」と言われた。
こう言われた自分は、「たしかに『日本人』を問い直すような研究にはなるかな」と思い、そうったことを論じるあるいは発信する必要があるのかなと思い、研究の方向性や論の進め方もやや方向が変わって行ったように思える。