9/ ある日、弾けないギターと意味の分からない歌詞を前にスラング辞書を見ている僕に、「分かんのか?」と父が話してきたことがある。父と話した記憶があんまりない中では一つのハイライトとして残っている。僕は「分かるよ」と答えた。会話はそれだけだった。