現在発売中の「週刊朝日」に、中島要『吉原(なか)と外』(祥伝社)の書評を寄稿してます。18歳で身請けされた元花魁と、彼女の妾宅で働く23歳未婚女性のミステリタッチのバディものです。
中島要さん、江戸市井ものがとても上手な作家さんで、着物から事件の謎を解いていく「着物始末暦」シリーズ(ハルキ文庫)などを手がけた人なんだけど、吉原を舞台にした初期の短編集『ひやかし』(光文社文庫・2011年)がすごく良くて! 「泥の中でも蓮は咲く」というような遊女の誇りと、でもそれを決してきれいごととしては描かないストーリー、しかも都々逸みたいなリズムのある文章で、すごい新人が出てきたものだなあと当時思ったのでした。
遊女ものは今の価値観で判断しちゃうとかっこよく書いても悲惨さを前面に出しても「それは違う」って指摘されることがままあるんだけど、中島さんは比較的そのバランスがとれてる人だと思う。
なお、職業としての吉原小説に興味のある人は、吉原の成り立ちを商売面から描いた朝井まかて『落花狼藉』(双葉文庫)や吉原で働く遊女以外の人々を扱う志川節子『手のひら、ひらひら』(文春文庫)が、恋愛小説が好きな人には宮木あや子『花宵道中』(新潮文庫)がオススメ。
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大矢博子 (ohyeah1101@bookwor.ms)'s status on Thursday, 01-Dec-2022 12:28:27 JST大矢博子