健全な購買力をもった消費者は、経済における一種の「共有地」で、それがあるからこそ生産者はものを売ることができた。そのような消費者の多くは、被雇用者でもある。つまり健全な購買力をもった消費者は、十分な賃金を支払う雇用者によって作られる。賃金の支払いと、消費のサイクルがうまく回れば、経済は健康だ。
しかしここで、「抜け駆け」をする悪い雇用者が出てくると、つまり自らは十分な賃金を支払わずに、一方で「共有地」にただ乗りしようとする雇用者が出てくると、このサイクすぐには崩れてしまう。我も遅れまいと、フリーライダーが続出して「共有地」は捨て置かれ、あっという間に荒れ地になる。
??の風景を自分はこんな風に捉えている。
これは、一種の共有地の悲劇。
最低賃金を引き上げると、短期的には雇用に悪影響を与えるかもしれないが、中長期では「共有地」の回復を経て良好なサイクルが復帰するのではないかと思う。