雨のなか、深夜徘徊でコンビニに行った。なんか適当に酒でも買おうかと陳列棚を見るもあまりフィットするものがない。諦めて帰ろうとしたところ、鬼ころしを見つけた。記憶の片隅に鬼ころしを飲むアニメキャラクターが思い浮かび、ちょっと美味しそうかも、と思った。
実はまだ鬼ころしを飲んだことがなかったのだ。コンビニなどで見かけるたびに「これは美味しくない」と決めつけ、買うことがなかった。深夜のテンションでするり、と手が伸びてしまった。
成分表字を見ると、お世辞にも美味しそうとは言えない。糖類、醸造アルコール、酸味料。あまり酒に詳しくない私でもちょっとためらってしまう。だが、知らないまま批判もできまい、と心の批評家が唸ったので、そのままレジへと赴いた。
110円、日本酒とは思えない価格だ。店を出るなり傘をさし、ストローをさす。ちゅう、と吸うと、口のなかになんだかよくわからない液体が飛び込んできて、思わず笑った。
糖類ゆえなのか、どこか甘ったるい。癖はなく飲みやすいのだが、舌の上に残る苦味とは違った違和感にぶるぶると震える。なんなんだこれは。