トランスジェンダー問題読んだ(1/3)
トランスジェンダーの人々が生きるにあたって感じている困難としての「問題」と、世に「トランスジェンダーの問題」として認識され流布しているそれにどれほど乖離があるのかについて、様々な角度から指摘している本。勿論簡単な内容では無いのだけど、構成が素晴らしくて(さっきの内容、この話をするためだったのか!ていう瞬間が沢山あった)、非当事者の素人でも躓くことなく読了できた。ノート取りながら読んだので読書というより大学の講義ひとつ受けたような充実感。
トランスの人がDV被害で家から逃げないといけない状況にあっても、シェルター自体が高度にジェンダー化(男性用、女性用)されているため頼る事が難しく、結果としてホームレス状態を選ぶ当事者が多い、というのが強烈に印象に残った。医療や法的手続きの困難は想像出来てたけど、これについては予想だにしてなかったので、マジョリティとして無自覚な特権性を改めて痛感したというか。このように、国家の定める制度や社会の仕組みから善意のボランティアに至るまで、「シスジェンダーヘテロセクシュアルの白人」を前提とした設計がされているし、我々の意識にもそれが強固に刷り込まれているという事を本書は繰り返し指摘する。