「Ryuichi Sakamoto:Playing the Piano 2022」を観ながら、坂本龍一氏の音楽を聴き続けた30年近くを振り返っていた。
新旧を問わず彼の作ったもの、関わったもの、彼自身を作ってきたさまざまな物事を、とりわけ10代半ばから後半は夢中になって追いかけたものだった。クラシック音楽、ジャズ・フュージョン、ロック、映画、音楽、文学、思想…。
一曲一曲が始まるたびに私の眼前に風景が広がる。それぞれの曲に出会い何度も何度も繰り返し聴いた頃に観た、例えば通っていた高校敷地内のバス停にある松の葉から零れ落ちた雨の滴など。そうした日常のなにげない光景やその頃の気持ち、憧れの延長に今の自分はあるのだと改めて感じた。