大人がアニメを見てもいいし、漫画を読んでもいい。
けれども、やはりそれだけではだめなのではないか。漫画やアニメという抽象性の高い媒体は、結局のところ現実を抽象的にしか理解できない。だが現実は具体的で多様で複雑なのだ。アニメや漫画がいかに現実的であろうとも、所詮は現実には及ばない。
ところがしばしばアニメや漫画で現実を語ろうとする倒錯が発生する。ニュースに対し、アニメや漫画のキャプションで何かを言った気になり、さも自分は現実を理解したと語るアカウントはその好例であろう。
20世紀のアメリカを代表するジャーナリストであるリップマンが『世論』で描いたように、我々はしばしば現実を単純化する。現実を単純化して理解することは昔も変わらない。ところが、前述した事例はあたかも自分たちが「一般人」よりも現実を理解していると僭称しているかのような有様である。これは実に奇妙なことではないか?
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