「それは「問」の構造が強要しているのに、発言したのは女性であるゆえに、女性自身の考えとして「標本化」されてしまう。そして「問」への答えを呈示したのは女性であるがゆえに、「問」という形で行使された女性運動を特定の方向に導いていってしまった力は、その作用した痕跡を消していく。
作用した痕跡を消す権力。すなわち行為者の自発的な行為を巻き込む権力。それは社会構造自体にはらわれた権力であり、特定の個人の意図には還元できない権力作用である。われわれはそれをこそ、家父長制と呼んでいる。制度を問題にするとは、当然にもそういうことなのだ。」(『フェミニズムと権力作用』/江原由美子 p.32)
SNSで論争をする前に。その論争を生み出している権力作用こそが「家父長制」なのだという江原の指摘、ビリビリくる。