長崎市内。日曜の今日も、朝からおばあちゃんと猫はお店にいた。
長崎のこの小さな店を見て、かつて父がお世話になったという遠縁の親戚のおばちゃんを思い出した。大阪市内の中央市場の近くで小さな食料品店をやっていて、子供たちがどんなに言っても店を畳まず、老衰で亡くなる数日前までお店に座って馴染みのお客さんたちと話していた。
父方の親戚が集まると、いまだにこのおばちゃんがどれだけ情け深かったかという話になる。街の人からも親戚からもリスペクトされていた、小柄な女性。
ちなみに、慎ましい庶民であるうちの食卓に松茸だの蟹だのが上がっていたのは、このおばちゃんのお陰だ。「もういいって言うのに持たされた」と海の幸山の幸を持って帰った父と、嬉しいような困ったような母の顔を今も覚えている。