ところで。
お茶が好きなので、わたしの家には煎茶も番茶も玄米茶もある。訪問してくれたひとがそれを所望することも多く、わたしは亡き伯母が買ってくれた急須をいそいそと出して、茶葉とお湯を注ぎ訪問者の前に置く。
そして、後ろを向いて茶菓子の用意なんぞしながら、くすくすにんまりうひひ…?
そして皆一様に「あれ?」と言い、もう一度急須をよく見る。持ち手が反対なのだ。
そう、これは左利き用の急須だ。これを握ると、わたしたち左利きがどれだけ毎日小さな不自由を感じているかが実感できるというもの。
ウチには左利き用のワインスクリューもあるが、最近ではン万円もするフレンチワインでもない限り、コルクを使うオーストラリアワインはあまりない。
だから、わたしは午後の訪問者には必ず訊くのだ。
「日本茶もあるけど、どう?」