「橋迫は、子どもを産み育てることに肯定的イメージをもてなくなっている現代の日本社会において、「確信を持てるように鼓舞する」スピリチュアリティの数々を調査した。「子宮温活」からはじまって、妊娠すれば胎児の「胎内記憶」に気を配り、「自然なお産」を目指し、必要なグッズも揃(そろ)える。橋迫の視線は、スピリチュアリティを批判するのではなく、なぜ現代を生きる女性たちの心を捕らえるかを理解し、社会背景を探るものだ。その上で、妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティは、ジェンダーバイアスを肯定し強化する側面があること、スピリチュアルな世界観の主唱者が、ナショナリズムを強調する発言や保守的な家族観を流布する団体に所属している例があることを見逃さない」