ゲイ雑誌「アドニス」(1952-1962) の初代編集長だった上月龍之介についての情報があまり見つからなかったのだけど、アルベルト・モル (Albert Moll) の著書「同性愛 (原題: Die Conträre Sexualempfindung)」(1957) の訳者、上月駿哉と同一人物ではないかと思う。以下、その理由。
(1) アドニス13号に上月龍之介は「アルバート・モルの同性愛研究」というエッセイを寄稿している。
(2) 訳書のあとがきに「最後に、本書を訳すにあたって、種々貴重な助言をいただいた大場正史。... また終始訳者を援助して下さった田中純夫氏に感謝の意を表したい。」とある。大場正史はアドニスに「R・F・バートン 男色考」というタイトルの訳文を寄稿しており、田中純夫 (= 田中貞夫) はアドニスの二代目編集長だった。
本の奥付にある上月駿哉の略歴は以下の通り。
「1934年、姫路に生まれる。第六高等学校より、大阪帝国大学工学部中退。第一出版を経て現在、飜訳に従事。」