緊急手術で入院した病院には適切な空室がなく、病室の患者の組み合わせは残酷だった。待望の妊娠をしたものの切迫流産で何か月もほぼ寝たきりの女性と、突然の病状悪化で覚悟する間もなく子宮卵巣全摘出となったわたしは言葉もほとんど交わさなかった。
どうしようもないことと知りつつ、互いが羨ましかったと思う。何か月も寝たきりなら、自由に動き回れる身が羨ましいだろうけれど、自分が一生持ちえない経験をしている女性のことも羨ましいと感じだ。
わたしたちは互いを労わりあうこともできず、真夜中に神経を昂らせながら溜め息を吐いていた。あれからもう十数年になる。