最近、トランプ大統領のあまりの横暴と理不尽さに怒りを覚え、一方で政府の対応に納得できず、紛争の止まない世界の現状に悲観的にならざるを得ない。それならば、と米国の製品や輸入品をボイコットしようとしても、複雑に絡み合った市場を細かく見ていくとそれも難しく苛立つばかりだが、そんなもやもやとした自分の心のなかを覗きこんでいると、そこに戦争の種のようなものを発見して戦慄する。反戦ムードだった日本国民が、盧溝橋事件、日華事変を経て、次第に戦争に熱狂するようになっていった1941年、英米との弱腰外交に業を煮やし東条内閣を突き上げた民意に近いものがあるのかもしれない。当時、「日米開戦すべし」という強硬な投書が政府に3千通あまりも殺到したというが、SNSのある今ではそのような熱狂はあっという間に燃え上がるかもしれず、恐ろしい。ちなみに、同じ年の年頭にはまだ、開戦は避けられると60%の国民が考えていたらしい。世論が戦争へと傾くのに一年もかからなかった。1941年12月8日の真珠湾攻撃は、決して軍部の独断ではなく、その背後には日本国民の熱烈な支持があったのだということを忘れてはならない。トランプ憎しのあまり、反米感情を募らせていくことの危険性を覚えておく。