「ボサノヴァ〜撃たれたピアニスト」は、ボサノヴァ黎明期から全盛期にかけて活躍したピアニスト、テノーリオJr.の生涯を追った作品。リーダーアルバムは一枚しか残していないが、その作品もバンドに参加作品も聴いている。
テノーリオはヴィニシウス・ヂ・モラエス、トッキョーニョ他とのアルゼンチンツアー中にサンドイッチもしくは薬を買いに行くと言い残して深夜にホテルを出て行方不明となる。映画は彼の足跡をアメリカ人伝記作家があまたの伝説的ミュージシャンや家族にインタビューしながら追いかける内容。彼は軍事クーデター下のアルゼンチン軍事警察に拉致され「アルゼンチンのアウシュヴィッツ」と言われた拘禁施設で拷問を受けたのち銃殺された。モラエスは社会主義者の元外交官であったがテノーリオは音楽にしか興味のないノンポリであり、明らかに冤罪なのだが、ミュージシャンという職業柄「芸術家に友人が多い奴はアカ」という警察の判断で殺される。独裁者が文化芸術を憎むのは今のアメリカ肛門も同じ。
(続く)
Conversation
Notices
-
Embed this notice
吉田尚 (namepyon@mstdn.jp)'s status on Friday, 11-Apr-2025 19:23:01 JST 吉田尚
- るまたん repeated this.
-
Embed this notice
吉田尚 (namepyon@mstdn.jp)'s status on Friday, 11-Apr-2025 19:23:09 JST 吉田尚
(続き)逮捕2日後に知らされたブラジル大使館も「釈放後に全て喋られるのはまずい」という理由で彼を見捨てる。
「彼は2カ国の軍事独裁政権による白色テロの犠牲者だ」と憤る米人ジャーナリストにブラジルの友人は「その政権を支援したのは君の国の政府だ」と返す。まさに、当時アジェンテやビクトル・ハラを殺したピノチェトのみならずアメリカは中南米の反共独裁政権を人モノカネあらゆる面で支持していた。それにはっきり言及しているのが本作の美点である。