「産業構造を転換しなければならない「歴史の曲がり角」では、新産業創出にチャレンジすることを可能にする社会的セーフティネットは、強化することが必要であっても、切り捨てればかえって、経済発展を阻害してしまう。」
「工業社会から知識社会へと産業構造を革新しなければならない「歴史の曲がり角」で、「小さな政府」を唱え、教育訓練、職業訓練、研究開発など人的投資を削減の対象としていくことが、経済発展を阻害する致命的要因となっていく。」
「スカンジナビア諸国を初めとする租税負担率の高いヨーロッパ諸国の経済成長が、1990年代になると高まり始めるのとは対照的に、「小さな政府」の夢をひたすら追い求めた日本は、「失われた10年」という喪失の時を刻んだのである。」
(神野直彦・井手英策『希望の構想』)