『南海トラフ地震の真実』小澤慧一記者の記事。
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大地震発生の確率は、阪神大震災の震源となった活断層の存在が住民に伝わっていなかった反省から、危険性を周知する目的で導入された。だが、確率の高低が防災意識と自治体の対策に格差を生み出した。
象徴的なのは、確率を日本地図にした「全国地震動予測地図」だ。突出して高い確率が出るモデルを使った太平洋の南海トラフ沿いが、危険を示す濃い赤色で塗りつぶされている。
だが近年、熊本、北海道、能登半島など、確率が低いとされた地域で大地震が頻発している。石川県の防災計画に携わった室崎益輝・神戸大名誉教授(防災工学)は取材に「確率を信じ、大地震は太平洋側と油断した。防災に確率は不要だ」と述べた。
低確率は「安全宣言」にとらえられかねず、いつどこで大地震が起きてもおかしくない日本ではリスクとなる。地域ごとの危険性を住民が知り、備えにつなげられるよう、誠実な議論を期待する。
南海トラフ地震の発生確率「80%」が覆る可能性 地震調査委が新データを基に見直し 国は「中身話せない」:東京新聞デジタル️🔒
https://www.tokyo-np.co.jp/article/379749