メディアにしろ学者にしろネットの論者にしろ政治家にしろ「この人だったらこの件に関してこのように言うだろう」という主義主張のある程度の予定調和がかつてはあったが、それがこの一年で急速に想定できなくなってきた。ボトムラインや軸がどこかにあったのにそれがぶっ壊れて誰もがどこに準拠したらいいのか皆目検討がつかなくなった、というのがその理由ではないかと思うが、わかりやすい一つは安倍晋三が死んだ、舞台から突然消えた、ということがあるだろう。
ネトウヨがどっちを見てものを言ったらいいのかわからなくなった、というのは当然であるが、それが反安倍であった人々の間にも起きている。もちろん三角点は安倍晋三だけであったわけではない。どちらかと言えばそれは結果とも言える。ガザの惨状で「欧米の人権思想」が障子程度のものだった、という虚脱もある。あるいはパンデミックもその契機でもあるかもしれない。
まともなことを言い続ける人が圧倒的に少なくなってしまった、と感じる。