「日本の伝統」と呼ばれているものでも、詳細に跡をたどってみると、明治時代に始ったものが結構多い。特に神道に関連する「伝統」は政策的・意図的に再創造されている。
うちの集落にある神社は、名前を「五霊神社」と言って、五柱の神を祀るものなんです。それぞれ「うんたらのみこと」とか「かんたらのおおかみ」とか(テキトーです)名前が付いていて、へー、と感心したら、村の爺さんから「けっ、そんなもん、明治の初めに東京から来た学者が適当に付けた名前や。それぐらい知っとけ」と嗤われました。高校生ぐらいの時だったかな。
じゃあ、その前は、というと、これもせいぜいのところ、江戸時代中期ぐらいまでしか遡れない。
一昨年と昨年、村で京都府立大学文学部歴史学科のフィールド・ワークが実施されて、神社の建築の様式とか、いろいろと調べてくれた。近隣の神社のそれとの比較も含めて、非常に面白かったのだけれど、一言で感想を言うと「なーんだ、その頃の流行に合わせて、これがかっこ良いと思ってそうした訳だ」です。