大昔に採用やってた時に逆パターンみたいのがあった。
あいつは確か文系だったと思うのだけど、面接でやけに芝居がかった話し方をするヤツがいた。受け答えも話す内容もしっかりしているのだけどすっごい宝塚な感じというのかなオーバーアクションで芝居がかっている。まあ、演劇やってたのでそのまんまなんだけど。わたしはなんの問題も無いと判断したので次に上げると彼には結局内定が出た。
強く推していたワケではないけど全然問題ないので採用枠が一つ埋まって良かったというような感想を持っていた。
年が明け入社まであと数か月といったところから問い合わせが来るようになった「ウチの○○に内定を出しました?」みたいな。
聞けば、彼は今でもあるし名が通ってる某産業機器メーカーの創業家の社長だか役員の息子らしい。その社長だか役員の親御さんから直接問い合わせが来るようになった。
「はい」「困る」
そんなやりとりから始まったと思う。確か。
「内定を取り消して欲しい」「ご本人の意思での応募があり、それに基づいて選考した結果合格し、ご本人の入社意思を確認した結果、採用内定致しました」「困る」「相当な理由が無い以上、こちらから内定取り消しは出来ません。」「ご本人の意思次第です。ぜひ息子さんと話あってください。息子さんからの連絡があれば対応します。」
まずはそんなやりとりを電話で何度か行った。
たぶん継がせたいのかな。会社に入れたいのかななんて思った。
産業機器メーカーなので、当時わたしが働いていた会社(彼に内定を出した会社)の取引先になる。あまり変な事も出来ないが、はいそうですかとは出来ない。
最終的には、入社直前の時期だったか、親御さんの社長さん?役員さん?は直接オフィスにいらっしゃった。直談判。人事部長に相談したら「任せた」と言うので、わたしがお会いしてお話させてもらった。
と言っても話す内容は同じ。
それでも1時間くらいは粘ってたように記憶している。
結局彼は入社して、地方の営業所勤務になった。
親御さんとの事は、本人には言って無いし、確認もしなかった。別に本人が働く意思があって働いているのだからそれ以上でもそれ以下でもないので。