岡真理『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』読了。
講演をまとめたものなのでとても読みやすく、わかりやすい。読みやすいと言っても内容は相当重く、多くの読者が罪悪感に襲われることになるだろうが、こういうことが現実に起きているということをまず知らなくてはいけない。ナチスが勢力を伸ばし、世界を席巻し始めていた頃、同時代の人はなぜあれを静観していたのかと、歴史の本を読みながら不思議に思ったことがあったが、まったく同じような無関心という過ちを、自分を含め、この時代の人々が犯しているという現実。
多くの日本人にとって難しいと感じさせるのが宗教という要素だが、この本にも書かれているように、イスラエル国家を作ろうという勢力はどちらかというと非宗教的なグループで、敬虔なユダヤ教徒ほどシオニズムには反対していたという点は重要だと思う。宗教的な難しい問題に見えている、見せかけられているという側面もあるだろう。これは比較的「シンプルな」暴力の話であり、政治の話なのだろう。