近世と近代のあいだには「貧しさ」に対する根本的な対処の差異がある。近世の村文書などを読んでいると、頻繁に「困窮」という言葉が出てくる。天候不順や災害によって村が「困窮」しているので年貢を減免して欲しいという陳情書などである。要するに、村の総意として「困窮」の打開策を談じているのである。これは先に見た、魚津の定型化した米騒動の嘆願行動とも酷似している。近代に入っても、農村漁村では未だ近世的な対応で「貧しさ」に向き合っていたと解釈できる。
『焼き芋とドーナツ 日米シスターフッド交流秘史』湯澤規子
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