今日の話好きだから流しちゃおう
24年10月7日 『逢坂誠二の徒然日記』より
"1)分かりやすさの危うさ
「おい地獄さ行ぐんだで!」
小林多喜二の『蟹工船』の冒頭です。知っている方も多いと思います。
はじめて読んだのは中学生ときだったと思います。みぞおちのあたりが痛くなるような重苦しい衝撃を受け、その後、しばらくこの本から遠ざかっていました。30歳を過ぎてから、時折、この本の幾つかのシーンが気になって、パラパラと文庫本をめくることもありました。15年ほど前には、若山弦蔵さんが朗読する『蟹工船』も通しで聞きました。とにかく重たく様々な問題提起のある作品でした。
先日、現代語・新訳『蟹工船』という本があることを初めて知りました。小林多喜二のもともとの『蟹工船』は、それほど難しい言葉で書いているわけではありません。なぜわざわざ現代語に置き換えるのか、新訳などをするのか、若干訝しく感じましたが、気になったので、新訳『蟹工船』を手にしてみました。"