「しかし、土井さんが一時期、「ブーム」と言われるほどの熱狂を生み出したのは、マスコミのせいばかりではない。委員長になった最初の衆院本会議での代表質問で、こう切り出した。
「女は三つの老後を生きなければなりません」。夫と自分の親の老後。次いで夫の老後。最後に自分自身の孤独な晩年がやってくる。「老後という言葉の後ろから、女性たちのため息が聞こえてくるのです」
このくだりは大きな反響を呼んだ。介護保険制度ができたのは、それから10年以上あとのことだ。女性たちが耐え忍んできた格差、差別、不条理な負担のシワ寄せ……。土井さんにはそうした女の怨念を体現するかのような、凜とした戦う姿勢を感じさせるところがあった。」