今日は山の日なので、それにちなんで本をご紹介。
高嶋修一『山の観光史』日本経済評論社(2024)
帯の「ガチ登山じゃなきゃ、ダメですか?」が攻めてますが、登山電車やケーブルカー、ロープウェイにリフトといった「近代的」な登山の歴史を追った本です。
考えてみれば、山の観光っていわゆる「本格的な登山」の人は少数派で、自動車や鉄道などで山に登る人の方がずっと多いわけです。真面目な登山からは「邪道」扱いされがちでも、観光事業としてはそっちの方が重要なのですね。箱根や立山、比叡山に栗駒、那須高原に尾瀬といった各地の例が紹介されます。
個別事例の話、リフトの歴史なども面白いですが、読みながら山を観光するというのはどういうことなのか、苦労して登るから意味があったのを「楽」にするとはどういうことか、そもそも観光するとはどういうことなのか、といったことまで考えるきっかけになります。観光とは因果なものかもしれません。