この白軍のできそこないロシア貴族 ローマン・ウンゲルン・フォン・シュテルンベルクなんだけどこのシュテルンベルクをそのままモンゴル語に訳して「大いなる星の山」などと名乗っていたという。そしてロシアの革命軍からは嫌われ恐れられ「狂ったバロン」「赤いバロン」「血まみれバロン」「黒いバロン」「白いバロン」(何色なんだwww???)などと呼ばれていた。ウンゲルン・フォン・シュテルンベルクに力を借りたボグド・カーンからカーンと等しい待遇を与えられたのを「白人が」「モンゴルのカーンになった」というふうに19世紀的に植民地主義ロマン的に物語化することもできそうなものだったが、こいつは反共産主義が転じて激烈な反ユダヤ主義者でウランバートルにいたユダヤ人も殺しに殺し、「すべてのアカとユダ公を根絶やしにする」のが夢だと公然と語り、実際に1921年にはほんの六ヶ月の支配で大殺戮を実行した凶悪なヴィランなので、どう美化してもとてもオリエンタルなロマンの主人公にできないのだった。