「外国人差別のルーツは日本の植民地支配」 川崎でシンポジウム、人種差別撤廃法のモデル案を公表
https://www.tokyo-np.co.jp/article/325527
外国人に対する差別の構造を解き明かそうと、在日コリアンが多く暮らす川崎市で「日本の植民地主義と奪われた外国人の人権」と題したシンポジウムが開かれた。同志社大の板垣竜太教授(朝鮮近現代社会史)は講演で、植民地支配で形成された朝鮮との関係性が戦後も克服されず、レイシズム(人種、民族差別)に根ざした法制度がつくられたと指摘。差別撤廃法や人権救済の制度が必要とした。
学者や弁護士でつくる「外国人人権法連絡会」(東京)が4月27日にシンポを開催し、オンラインと合わせ約100人が参加した。
板垣さんは裁判で関わった差別の事例として、在日コリアンが集住する京都・ウトロ地区で起きた2021年の放火事件や「祖国へ帰れ」との投稿が差別と認められ、在日の女性が23年に損害賠償を勝ち取ったネットヘイト訴訟などを紹介。差別を生み出す土壌として植民地主義を挙げた。
◆「外国人の人権擁護よりも管理を重視してきた」
1945年12月、日本では女性の参政権が認められる一方、在日朝鮮人、台湾人の参政権は停止。日本が主権を回復した52年のサンフランシスコ講和条約発効の際には朝鮮人、台湾人は日本国籍を剝奪された。「戦後日本では平和民主の流れの裏側で、外国人の権利は失われていった」
入国管理局幹部が60年代に自著で「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと自由」と述べた言葉が象徴的とし、「差別撤廃に消極的で、植民地支配責任を否定し、外国人の人権擁護よりも管理を重視してきた」と政府の責任を問うた。
この日は、連絡会が策定した人種差別撤廃法モデル案も公表。差別犯罪を定義づけるとともにヘイトスピーチなどに刑事罰を設ける内容で、障害や性的指向を含め幅広い対象の差別を禁じた相模原市の人権施策審議会の答申などを踏まえた。事務局長の師岡康子弁護士は「国際人権基準に見合うものだ」と述べ、実現に向けて取り組むとした。