『関心領域』の設定で思い出すノンフィクションが、ウェンディ・ロワーの『ヒトラーの娘たち』(武井彩佳 監訳、石川ミカ 訳、明石書店)。
戦後、アウシュヴィッツ所長の妻を含む収容所職員の妻たちは、壁の向こうで何が起きているのか知らなかったと主張した。
「(妻たちは)自宅はそういった場所とはまったく異なり、夫がストレスの多い仕事から逃れられる正常な場所だったと言っている。しかし、収容所と自宅とは別個の世界ではなかった。両者は重なり合っていたのである」
とてもよい本なので、『関心領域』の邦訳が出たら書店で並べたらいいと思う。