ちなみに、福島県の女性の世代別人口を見てみると、原発事故当時、幼い子供を抱えていた現在40代の女性も少なくなっています。
これは、かんたんに「母親の放射能忌避」とまとめられてしまいましたが、実際のところ、「嫁」の家族内、社会内での立場の弱さに起因するものであると思います。
事故後の被災者のナラティブ分析を修論で行ったのですが、事故後、母親に対して、過剰な「よい母親であれ」プレッシャーがかかると同時に、発言権を認めてもらえない様子は明確でした。
それに耐えかねて、県外に「避難」した母親も多かったのだと思います。放射能を避けたかっただけではなく、放射能対処をとおしてかけられる、「嫁」圧力からも逃れたかったのだろうと、今は思います。
そして、放射能が低減したあとも、「嫁」圧力は残り続けるため、戻ってくるという選択は取らなかったのだろうと思います。