年末年始をまたいで結核病棟に入院していた人から聞いた、クリスマスケーキにまつわる悲しい話。
クリスマスイブの夕食は、質素な病院食ながら小さなケーキがついた。大部屋の他の患者たちは喜んでいた。ところが、その人のトレイにはケーキがなかった。糖尿病を患っているから。自由に外に出られない結核患者にとっては食事は大きな関心ごとであり、普段だったら小さなケーキなんて自分で買えるけど、病棟から出られない身ではそうもいかない。みんなが喜んでる中、自分にだけケーキがなかったことは、とても大きなショックだったと、いくらカロリー制限があるからって、ケーキをなくして済ませるのはあんまりじゃないかと、いい大人が心底悔しそうに語るのは、聞いてる方もつらかった。
でもその夕食後には、担当医師がサンタの扮装で病室に来て、患者ひとりひとりに靴下を1足ずつプレゼントしてくれて、それがすごく嬉しかったらしい。
正月の食事の話も聞いたけど忘れた。特に他の患者との差異で悲しい思いはしてなかったんじゃないかと思う。