私の記事「OpenAI内紛劇の背後に『21世紀の優生思想』」に関して「功利主義の否定」と誤読している意見を見て、少し驚きました。この点を補足しておきます。
https://globe.asahi.com/article/15087941
結論を先に述べると、当方の意見は「功利主義と人権の組み合わせが現実解である」というものです。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」や、SDGsの数値目標の考え方は、この路線です。
功利主義は、功利の大小で判断できる分野では低コストで判断でき結論が分かりやすいメリットがあります。この特徴は産業・経済と相性が良く、そのため功利主義は社会の隅々まで浸透しています。
一方、功利主義に欠陥があることは、記事中で触れたように、高校生向けの本に載っているほどには認められ、広く知られている話である訳です。
そこで、現実世界の倫理規範として用いるには、功利主義だけではなく義務論や徳倫理のような別の規範倫理と組み合わることが求められます。
記事中で触れたように、人権(human rights)はそのように構築された倫理規範です。
(続く