「川の流れのように」(かわのながれのように)は、1989年1月11日に発売された、日本の歌手、美空ひばりの生前最後に発表されたシングル作品である。
日本の歌百選に選定されている。
解説
作詞は秋元康、作曲は見岳章による。オリジナルの編曲は竜崎孝路によって行われた。元々は1988年12月発売のアルバム『川の流れのように〜不死鳥パートII』の表題曲で、シングルカットは、当初スタッフの意見は全員一致でポップス調の「ハハハ」にするつもりだったが、レコーディングしたひばり本人の強い希望もあってこちらに変更された。なお、「ハハハ」は1990年6月21日に同じく『川の流れのように〜不死鳥パートII』収録曲である「女は昨日のために男は明日のために」をカップリングとしてシングルカットされた。
元々、アルバム『川の流れのように〜不死鳥パートII』は「自分の歌から遠い若い世代の人たちにメッセージを残したい」というひばりの意向により製作されたため、作詞には当時、作詞家・放送作家として若者からの人気を得ていた秋元が起用された。当初、「ハハハ」をシングルカットする意向だったスタッフに対して、ひばりは自分の人生と本楽曲を重ねて「1滴の雨が木の根を伝い、せせらぎが小川になる。水の流れがあっちにぶつかり、こっちに突き当たりしながらだんだん大きくなる。やがて大河になり、ゆっくりと海にたどり着く」と発言し、本楽曲のシングルカットを希望した。「あちこちにぶつかり」を説明するひばりのジェスチャーもだんだん大きくなって、普段はスタッフの意見を尊重するひばりが「お願いだから、これだけは私に決めさせて!」と熱望したという。
1988年10月11日に日本コロムビア本社内で行われた、オリジナルアルバム製作の報告も兼ねた、ひばりにとって生涯最後の記者会見の時にひばりは本楽曲について自ら発言している。この記者会見前には、当初はシングル化されるはずだったアルバム内の一曲「ハハハ」が秋元が立ち合いの下、公開初披露されていた。ある記者が「ひばりさん、今回のアルバムを楽しみにされているファンの方々が沢山いらっしゃるかと思いますけれども、アルバムに収録されてる10曲がどんな曲なのか、紹介していただけますか?」と投げかけた。するとひばりは「えー…もう『川の流れのように』の曲を1曲聴いていただくと、10曲全てが分かるんじゃないでしょうか。だからこれからの私。大海へスーッと流れる川であるか、どこかへそれちゃう川であるかっていうのは誰にも分からないのでね。だから『愛燦燦』とはまた違う意味のね、人生の歌じゃないかなって思いますね…