1936(昭和11)年のある史料を見ていたら、鉄道省のマナー向上運動に呼応して、ある村長が村人に公徳向上を呼び掛けるのですが、その冒頭が「お互い日本人の最大欠陥たる公徳精神涵養のため……」とあり、当時の自己認識では日本人が公徳心のないことが「最大欠陥」だったのか、と苦笑しました。
昔はマナーが良かったのに今は、とかよく言いますが、それは狭いムラの中での秩序を守っていただけであって、近代市民としての「公徳」は決して良くはなく、それは戦前の人も認めるところだったのですね。少しづつ、時代が進むにつれて、意識は向上していると思います。