夏目漱石『草枕』を読了。
読みやすい小説ではなかった。この小説を楽々と読み進めるためには、幼少時から漢籍の素読で培ったような文人の教養が必要だと思われるのだが、そんなものは私には無いからだ。
ただし、この小説を理解し楽しむために文人の教養が必要かと言うと、多分それも違うだろう。
漱石は、またもやこの小説で実験を行っていて、それも結構危険な実験なので、馬鹿を遠ざけておくための防塁として文人の教養をあっちこっちにばら撒いたのではないかと思う。
あるいは、危険を冒す前に確保すべき安全な足場として、そういう慣れ親しんだ世界を展開しておく必要があったのかも知れない。
非人情。不人情ではなくて。非人情を追求する実験。
もう一度最初からゆっくりと読み直してみたい気もするが、もう良いやという気もする。
まあ、次を読もうか。