JOUR2023年12月号
『狐面夫婦』第7夜
常世とあの世の境目にある家で、一組の夫婦が暮らしていた。
夫は咎人、常世に戻れば死罪。
妻は妖狐、人間の生気をすする。
夫も妻も愛を語っても、ホントは理由あってのこと。そんな「狐面」夫婦の2人が騙し合う、そして少しづつ惹かれ合う暮らし。
こう、いきなり『うしおととら』を思い出すのですが(思い出ファイルを開く)、
少年マンガ文脈におけるバディ関係をつなぐのが(人間を捕食する)大妖怪から少年への「お前はオレの餌」というつながりで、もちろんそれは絶対に実行されない、素直に「お前はオレの友達」と言うのは恥ずかしいから捕食関係を強調してのバディ関係、ということなんですが(それを美味しくいただく私)、
『狐面夫婦』はもう結構「食われて」いて、回復するものとはいえ生気をガンガン食われているし、また夫が見せた愛情も、死罪を免れるための偽りが多分に含まれている訳です。
すでに2人とも相手を騙してしまっている。
その上に恋慕がらみのパートナーシップを作るというのはハードルが高そーだなと。。
愛を偽る、というのは、これはめちゃくちゃな罪な訳です。その上で惹かれ合うなら、どこかで謝らなきゃいけないんですけど。言えなければ言えないほど罪は深まるのですが、さて。