パラコート連続毒殺事件(パラコートれんぞくどくさつじけん)とは、1985年(昭和60年)4月30日から11月24日の間に日本各地で連続発生した無差別毒殺事件である。何者かが除草剤のパラコートなどを飲料に混入させ、13人を死亡させた。すべて2005年に公訴時効が成立した未解決事件。
概要
1985年4月30日から11月17日までにかけて、日本各地で自動販売機の付近や商品受け取り口に、農薬で毒物であるパラコートなどを混入した清涼飲料水が何者かによって置かれた。第三者がそれらを「取り出し忘れの商品を幸運にも見つけた」と判断し、飲んでしまったことで命を落とした。
当時は監視カメラも少なく、物的証拠も乏しかったため、犯人の特定に至らぬまま迷宮入りした。したがって、一連の事件が同一人物の犯行によるものかは不明である。半年あまりの期間中、関連が疑われる事件で少なくとも13人が死亡し、加えて模倣犯や自作自演による事件も起こった。
背景
青酸コーラ殺人事件による影響
歴史学者の濱田浩一郎によれば、本事件の8年前に発生した青酸コーラ無差別殺人事件を受け、自動販売機で販売される飲料は、開封済みが判別しやすい構造へ改良されていったという。例えば、瓶入りの飲料は、初めて開封する際にリング状の封印部分がちぎれて落ちる構造となり、缶入りの飲料は、一度開けると戻せなくなるプルトップ式となった。
しかし、本事件当時はこれら変更の移行期間であり、社会的にも開封・未開封を判別する意識が充分に浸透していなかった。また、先例の青酸コーラ無差別殺人事件が東京や大阪といった大都市で発生したのに対し、本事件は牧歌的な社会風土の残る郊外地域での被害が多かった。
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