米国におけるビール醸造の歴史についてのポッドキャストを聴いていました。建国後長いこと、生水は安全ではなかったので、人々は(大人も子どもも)水分補給に弱いビールを朝から晩まで飲んでいたこと。醸造は重労働で、女性の仕事とされたこと。
この中で、奴隷制を敷いていた南部でビール醸造係だった女性の話が出てきます。この話を紹介していたスミソニアン博物館の方が、彼女を「奴隷(“slave”)」ではなく、「奴隷にされた人(“enslaved person”)」と呼んでいて、ハッとしました。
「奴隷」は人が人を「所有」し強制的に無償で働かせる状態を指す概念だけれど、それを強いられた人はあくまで「人」であって。自分で選んだ職業なら職業名をアイデンティティとして用いることは問題ないけれど、自由意思ではなく強制された人をそうした概念で呼ぶのは、尊厳を認めないこと…と思って、ハッとしたのです。今まで気づかなかったことに、更にまたハッとしました。