「国はそんなに酷い事をしないはず」という事で「処理水」も「科学的に安全」と思っている人は多いと思うけど、この国は普通に「酷い事」をするよ。具体例は水俣病。
熊本大学医学部研究班による「水俣病の原因物質は魚介類中に含まれた有機水銀である」という報告を受けた厚生省食品衛生調査会水俣食中毒部会が「有機水銀説」を確定する答申を1959年11月12日に厚生大臣に提出するも、翌日の閣議で通産大臣の池田勇人が「原因を有機水銀と特定するのは時期尚早」と発言し了承され、厚生省の答申は棚上げされた。
通産省は食中毒部会の厚生大臣への答申に先立って清浦雷作・東工大教授の「有毒アミン説」を主張する論文を配布していた。
また、通産省軽工業局長の秋山武夫は各省連絡会で「非水銀説」を強調して閣議で答申を葬り去るように根回しをしていた。
さらに、59年12月には厚生省環境衛生部長の聖成稔は、水俣工場を訪れて「原因究明にあたっては工場の排水を疑うという従来のやり方を白紙に戻して研究を再出発するから工場も「協力」してもらいたい(=国は「有機水銀説」を否定するんでよろしく」)と述べている。そして、チッソは生産工程や排水のデータ、「有機水銀説」を実証した細川一博士のネコの実験結果を秘匿するという形で「協力」した。
他にも、日本化学工業協会に関係の深い学者連中が行政と連携をして様々な異説を唱えて水俣病の原因究明の攪乱をはかった。
田村猛雄・東大名誉教授を委員長とし、東大医学部を中心に組織された「田宮委員会」をはじめ、医学会は熊本大学の研究班に総攻撃を仕掛けて水俣病のもみ消しをはかった。
経済企画庁を事務局に発足した水俣病総合調査研究連絡協議会で「有機水銀説」を否定する学者がいつも議論を振り出しに戻しすことによって、結論を得ないまま協議会は「自然消滅」した。
こうやって政治・行政・学者が「三位一体」となってもみ消しをはかったのが水俣病。この構図は半世紀以上経った今でもおそらく変わっていないと思われる。いくら「科学的に安全」と言われても、こういった過去があった以上は「話半分」ぐらいにしか聞けない。
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檸檬水 (dd_lemon@songbird.cloud)'s status on Wednesday, 30-Aug-2023 04:30:10 JST 檸檬水