トランスの人たちの「性自認(ジェンダーアイデンティティ)を尊重すること」が求められるとき、はじめにその命法のもとで求められているのは、
(1)その人のアイデンティティが否定される環境をなくす
(2)その人のアイデンティティを意図的に侮辱しない
といったことのはず。
なぜならこの社会では、
(1’)トランスの人のアイデンティティが否定される環境が放置され、
(2’)トランスの人のアイデンティティをわざわざ侮辱する行為が横行しているから。
そしてざっくり言えば、(1)については、必要のないはずの文脈で性別が問われずに済む社会が設計されること(履歴書、制服、トイレ…)によって達成され、(2)については、個人を対象とした中傷や、集団を対象としたヘイト・差別発言が(法的・倫理的に)禁止される環境が作られることによって達成されるはず。
「性自認を尊重する」という命法は、このように(1)(2)の要請を最初に含意するはずが、トランスの人たちが生きている性別違和や性別移行の実態が無視されたうえで、トイレや公衆風呂を念頭に置いた「性自認至上主義」へとこの命法が短絡され、ヘイトの増幅に利用されている。
Conversation
Notices
-
Embed this notice
高井ゆと里 (yutoritakai@mstdn.jp)'s status on Tuesday, 22-Aug-2023 08:33:50 JST 高井ゆと里