自民党の政治家を中心とした保守派の「生活保護バッシング」によって生活保護基準(厚労大臣によって決定される生活保護の最低生活保障水準を具体的に示すもの)の引き下げが続いているが、これによって影響を受けるのは生活保護受給者だけではない。
生活保護基準は住民税の非課税限度額と連動しているため、生活保護基準が引き下げられると住民税の非課税限度額も引き下げられて今まで非課税だった人が課税対象になることもある。さらに、課税対象になることによって介護保険利用料・保険料の減免や就学援助給付が利用できなくなったり、医療費の上限が上がるなど色々なところに影響が出てくる。
2021年8月のデータになるが、日本の生活保護利用者数は約200万人、世帯数は約164万世帯、保護率は1.63%、生活保護費の対名目GDP比は0.7%(2021年度予算ベース)となっている。そして、日本の生活保護捕捉率は2割程度しかないと言われている。このデータを見れば、国がやるべきことは生活保護の補足率を上げ、下げ過ぎた生活保護基準を引き上げて保護費を増額する事だろう。生活保護支給額がGDP比0.7%なんて本当にありえない水準で、「新自由主義」の本場であるイギリスは対GDP比4.1%、アメリカは対GDP比3.7%の生活保護費を支給している(データは共に2013年)。つまり、日本はイギリスやアメリカといった「新自由主義」の本場以上に貧困層に冷たい「自己責任国家」といっても過言ではない。
生活保護費は基本的に貯蓄ができない。つまり、生活保護費は最終的に全額消費に回ることになる。この国の現在の問題は実質賃金が上がらず庶民にカネがない事による「需要不足」。であれば、生活保護費を引き上げて生活保護受給者に今まで以上の消費をしてもらうのも「景気対策」としてありうる選択肢だろう。最低賃金との関係で言えば、最低賃金が低すぎるのが問題なのであって、最低賃金を引き上げればいいだけの話。公務員の人件費にしてもそうだが、他人の足を引っ張っても状況は良くならない。それどころか、そうやって他人の足を引っ張ってきたことがこの国をここまで低迷させてしまった大きな原因の一つ。「情けは人の為ならず」という諺の意味をもう一度理解しなおして、そろそろ他人の足を引っ張るような事はやめないとこの国は持たない。
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檸檬水 (dd_lemon@songbird.cloud)'s status on Sunday, 09-Jul-2023 21:52:28 JST 檸檬水