Twitterの混乱を見て「こういうことじゃないかな」という仮説があります。
成功したスタートアップのCEOは、米国ではアメリカンドリームの体現者としてヒーローになる。そのような成功者の中から封建領主のように振る舞う人々が出てきた。マスク氏もその筆頭だ。
資本主義のヒーローは民主的なリーダーとは異なる価値観、行動原理を持ち、今や中世の封建領主に近い存在となっている。「テック封建制」という言葉があるぐらいだ(これはヤニス・バルファキス元ギリシャ財務相が提唱した言葉)。
Twitterを買収したイーロン・マスク氏は、CEOであるなら商人の長として、CTOなら職人の長として振る舞うべきだった。ところがそうではなく、自分が慣れ親しんだロールモデル——封建領主として専横を極めた。まるで春秋時代の暗君のように。
SpaceXやテスラのように大番頭や専門家がチームにいれば違う経緯があったかもしれないが、Twitterでは気がつけばマスク氏は裸の王様になってしまった。これが仮説。