以前、仕事で必要な箇所だけ拾い読みして積んだままにしていた『お好み焼きの戦前史』(近代食文化研究会)を読んでるんだけど、圧倒的な資料をもとに、これまでの俗説やさまざまな企業や人々の勝手な思い込みで形成された歴史をひっくり返していくのが、すごく面白い。
「お好み焼き」はもともと東京生まれの食べ物の「カテゴリー名」であり、今の"お好み焼き"とはぜんぜん違うものだった。
本来の「お好み焼き」は、小麦粉の生地などを使って、客の好みに応じて別の食べ物(天ぷら、お汁粉、お寿司などに見立てたもの)を作るというもので、浅草の染太郎のしゅうまい天とか、まさにその流れだったんだな!と合点がいった。
あと、イギリスのリーアンドペイリンなどのウスタシャーソースの原料に醤油が使われていたという余談も驚いた。明治初期にすでに中国産の醤油が原料になっていることを日本の政府や醤油メーカーは把握していて、醤油の輸出の可能性を探っていた(けど、価格で中国産に負けてたらしい)。
近代食文化研究会の本、内容が充実していて、いちいちへー!となるので遅々として読み終わらない。