午後にある神戸テツドク!はJ. S. ミル『自由論』の第8回目で最終回。第5章「原理の適用」を読むのだけど、その冒頭に掲げられている2つの公理をせっかくなのでここで紹介しておく。2つの公理とは、ミルが『自由論』のなかで「もっと広く一般的に認められなければならない」と主張してきた諸原理のおおもとになるようなもの。
「第一に、個人は、自分の行動が自分以外の誰の利害にも関係しないかぎり、社会にたいして責任を負わない。他のひとびとは自分たちにとって良いことだと思えば、彼にむかって忠告したり教え諭したり説得したり、さらには敬遠したりすることができる。彼の行動に嫌悪や非難を表明したくても、社会はこれ以外の方法を用いてはならない。
第二に、個人は、他のひとびとの利益を損なうような行動をとったならば、社会に対して責任を負う。そして、社会を守るためには社会による制裁か、もしくは法による制裁が必要と社会が判断すれば、その人はどちらかの制裁を受けることになる。」J. S. ミル(斉藤悦則訳)『自由論』光文社古典新訳文庫、2012年、228-9頁