いろんな仕方で表現活動をすること、またそれができることは民主主義の社会において最も重要なことのひとつなので、結社して集会してデモをどんどんやっていけばいいと思うんだけど、例えば戦争の問題を考えたときに「戦争反対」「反戦」を掲げて運動しても、実はそれってほとんど誰にも届かないのよね。だって、戦争を望んでいる人や本気で戦争に賛成している人なんてほとんどいないのだから。
歴史的に見ても戦争は自衛、防衛を名目に始まっているように、防衛費倍増(軍事費倍増)で軍備拡張を求めている人も、たんに勉強不足で想像力が貧困なだけで、少なくとも頭の中では戦争反対、反戦なんだよね。だから「戦争反対」「反戦」というデモがあったら、デモの参加者から見て戦争をしようとしている人たちは「何を言っているんだ、戦争が起こらないように防衛費を倍増して軍備を拡張しようとしているんじゃないか。お前らこそ日本が戦争に巻き込まれるように邪魔をしている」となって、結局どこまでいっても両者の主張はすれ違う。だから、こういう人たちに戦争がいかに悲惨かとかひどいかって話をしても通じないし、率直に言ってしまえば無意味なんだよね。