遅刻する食パン少女(ちこくするしょくパンしょうじょ)は、少女漫画の定番とされる場面の1つ。学生の少女が朝、食パンを咥えたまま通学を急ぎ、衝突した少年と恋に落ちるというもの。「食パンダッシュ(しょくパンダッシュ)」、「トースト娘(トーストむすめ)」、「トーストくわえて遅刻遅刻(トーストくわえてちこくちこく)」、「パンくわえダッシュ」とも呼ばれる。
概要
大筋は次の通りである。主人公である中高生の少女が朝、学校に遅刻しそうになり、朝食をとる間も惜しんで食パン(トースト)を口に咥えて、家を飛び出す。大慌てで「いっけなーい遅刻遅刻!」と登校路を走っていると、曲がり角で1人の少年に衝突する。2人は互いに悪口を言ったり、謝ったりする。
少女が学校に到着すると、その少年が少女の学級に、転校生として現れ、「たまたま空いていた」という理由で主人公の隣の席に座る事になる。少女は先の衝突のこともあって、当初は少年に悪感情を抱く。しかし紆余曲折の末に、2人はやがて恋に落ちる。
但し作品によっては「出会う」シーンがなく、ただ遅刻しそうになった少女が食パンを咥えて学校まで走るだけ、の場合もある。
発祥
1990年(平成2年)に、相原コージと竹熊健太郎による『サルでも描けるまんが教室』(以下『サルまん』と略)の第9話で、少女漫画における典型的な出逢いの場面として、#概要の通りの場面が描かれている。2010年(平成22年)に行われたgooランキング「古い少女マンガで『あるある!』と思ってしまうシチュエーションランキング」のアンケート集計結果でも、この場面は古い少女漫画の定番として、第3位にランキングしている。1960年代以降の新旧少女漫画やサブカルチャーに造詣の深い菓子研究家の福田里香は、2012年(平成24年)の自著『ゴロツキはいつも食卓を襲う』において、少女漫画に多い場面としてこの大筋を紹介し、「実在の漫画ではなく、何も見ずに自分の記憶のみに頼って書いた」と述べている。日本国外でも、BuzzFeedによる2013年の記事で、日本国外から見て日本のアニメに多くみられる場面の一つとして挙げられている。
しかし福田里香や、フリーの著作家である田幸和歌子、イラストレーターのはいおくらによる報告によれば、この場面は、古い少女漫画ではほとんど使用例が確認できないことが指摘されている。
2005年(平成17年)の田幸和歌子のエキサイトニュースでの記事によれば…