労働組合の活動をしていると、力の非対称性というものにリアルに触れることになる。
きのうもまた、常勤と非常勤、健常者と障がい者、男性と女性、家族持ちとシングルマザーというさまざまな境界線がわれわれの生のうえにひく力の裂け目などを、目のあたりにした。
苦しいなかにいる人は、だいたいが話はなかなかに終わらず、少し微笑んだまま、謎めいた鍵のようなことばをあちこちに散らしている。
こちらが気がつかないとそのまま粉雪のようにとけてしまう。あの微笑みは、言葉が届くことのなかった経験をなんどもしてきたひとたちがもつ特有の表情で、そのひとがひとりになったときの慟哭ととなりあわせにあるように感じる。