「少子化対策」にはさまざまな入口があるだろうけど、そのもっとも重要なもののひとつは、教育現場を手厚く保障して、現在のように高所得者層のみが高水準の教育をえられるシステムをかえていくことではないか。
階層格差=階級対立が激化する社会で、バックグラウンドや出自を問わず自分が目指した職業に就くことができる社会移動はきわめて困難だ。それを真に可能にするのは、結局は教育機会の平等しかない。しかし公教育が次々と萎縮していき、幼少期から莫大な教育費を親が公教育の外でみずから負担しなければ、子どもを「良い学校」に入れる競争のスタートラインにも立てさせられない社会で、若い世代は生まれる子どもの将来像をどのように描いていけるだろう。
子どもの教育のためにはみずから経済資本を高めていかねばならないというのに、民間企業から公務員に至るまで、非正規雇用の比率は高まるばかり。政府は教育に税金をまっとうに使ってほしい。数十年、百年単位のビジョンを持ってほしい。ずっと失敗してきたではないか。これ以上に民から奪うことはやめよ。