「職場の規律のためには断固とした措置を」というのは原則として間違っていないと思うが、そのために有期雇用契約者を雇止めにして当面は解決、というのは根本的に間違っている。
雇止めは少なからずの場合文字どおり〈解雇〉を意味しており、それは比喩的な意味を超えて、実質的にその労働者の〈首を切る〉──生死を分かつ──ことにもほぼ等しい。それをどれだけ認識できているのか。
〈規律〉が重要なら、問題が生じる構造そのものにメスを入れて時間をかけて改善すべきであろうが
、実際にはそうしたことはなされない。〈規律壊乱〉を口実に当該者をトガゲの尻尾のように速やかに切るだけ。
トラブルがあったら仲間でも切る(その時点でもう〈仲間〉ではないとみなされる──なんと薄い絆か)。
こうしたメンタリティーは、冷ややかで温かみのない新自由主義的社会に固有のものではなかろうか。組合にいて現場のトラブルをみているとそうしたことを頻繁に感じる。
功利とスピードが求められるなかで、私たちの多くがいつのまにかそれに染まっているのではないか。経済的リベラルのみならず、社会的リベラルにもこうした価値観を内面化した人は案外に多い。